医学メモ「麻しん」
 麻しんは、麻しんウィルスのよって引き起こされる感染症で「はしか」とも呼ばれています。感染者のくしゃみや咳でウィルスが空気中を浮遊し、これを人が吸い込むことにより感染します。麻しんは感染力が非常に強く、免疫のない人が感染すると、ほぼ100%発症します。
 一般的に、感染後10日ほどの潜伏期間を経て、高熱、咳、鼻汁、目の充血、目ヤニといった症状がみられ、顔に発疹が出て、体全体へと拡大します。このように、麻しんは全身に症状が現れる重い病気です。
 麻しんは、治療法はありませんが、予防接種でほぼ防ぐことができます。最近では、予防接種により麻しんの流行は小規模になってきています。しかし、日本の接種率は決して高くはなく、予防対策は十分とはいえません。そのため、ほかの先進国のように、麻しんがほとんど発生しないという状況には至っていません。国内では、毎年数万人の感染者がみられ、十数人の死亡が報告されています。アメリカから、「日本は麻しん輸出国である」という指摘を受けているほどです。また、乳児期に受けた予防接種の効果が十数年経過して弱まり、中学生以上の人たちの間で流行するといった現象がみられ、社会問題となっています。そこで昨年、予防接種の制度が変わり、1歳のときと就学前の2回接種することになりました。この2回の予防接種を確実に受けることで、少しずつ麻しんの流行も減っていきます。そうすれば、近い将来、麻しんは完全に撲滅することもできるでしょう。