医学メモ「痴ほう」
 痴ほうとは、大人の知能が冒される進行性の病気です。めがねを置き忘れたりするというような物忘れだけでなく、図形を写すことや、指示された行動ができなくなるなどの思考・判断能力にも障害が起こります。また、性格・人柄が変化する方もいます。
 痴ほうが発症する頻度は、65歳以上の方の5%前後と言われています。原因は様々ですが、多くは脳の病気によるものです。代表的な原因は脳の血管が詰まったり、破れたりすることで生じる脳血管性痴ほうと、脳の神経細胞が徐々に減るアルツハイマー病が挙げられます。脳血管性痴ほうは、高血圧・高脂血症・糖尿病などのコントロールすることが予防の上で大切です。アルツハイマー病には、進行を遅らせる薬が使用できるようになりました。
 また、痴ほうが進行すると、突然、時間や人・場所の区別がつかなくなって興奮する“せん妄”という状態や、財布が取られる、幻の人が見えるなどの妄想・幻覚が加わることもあります。これらの症状は薬でのコントロールが必要になりますので、かかりつけ医に相談してください。なお身体の病気で生じることもありますので、痴ほうの疑いがある場合は、早めに診察を受けましょう。
 痴ほうの症状は10年以上になる場合もあり、介護が長期間にわたると、介護する方の負担はとても大きくなります。介護する方は一人で抱えこまないこと、周囲の方は介護する方の負担を理解することが大切です。また、痴ほうの方はすべてが分からなくなっているのではありません。介護する方は相手の気持ちに配慮しましょう。